善意の蓄積が英国の力に その歴史的背景を解明=本村凌二
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三十数年前から、毎年9月を中心に渡欧している。その大半はロンドン大学内の専門図書館でデスクワークである。これだけ立派な研究施設を無料で使用できるのだから、帰国時にはいくばくか寄付してきた。このような施設が整うのも、その多くがチャリティーの資金でなされているからだ。やはり国家ばかりか私人の関与の蓄積を実感させられる。
そのいいところに目をつけたのが金澤周作『チャリティの帝国』(岩波新書、946円)である。副題に「もうひとつのイギリス近現代史」とあるように、善意の積み重ねがイギリスの底力となっていることに注目し、その歴史的背景を解明しようとする労作。
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