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いつかまた来る有事に備え 金が軟調でも「色あせない」理由=渡辺浩志

金価格は軟調でも下値は堅い=渡辺浩志

 金価格は2018年半ばごろから急上昇した。米トランプ前政権下での中国との通商摩擦の激化や、新型コロナウイルス禍を受け、安全資産として金は買われた。だが、ニューヨーク(NY)金先物価格は昨年8月に1トロイオンス=2000ドルを突破した後、価格が軟化。「有事の金」は、いったん役目を終えようとしている。

 安全資産として金とドルのどちらを持つかを選択する上で、カギを握るのは「実質金利」だ。ドルは名目金利の分だけ持ち分が増えるが、インフレの分だけ価値が下がる。それゆえ、実質金利(名目金利−インフレ率)が下がればドルの価値は下がり、金価格(=ドルで測った金の価値)は上がる。結果、金価格と実質金利は高い逆相関関係を示してきた(図1)。

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