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コロナ後はバラ色」は大きな誤解 楽観ムードに水を差す米国経済指標=藻谷俊介

楽観ムードに水を差す米国経済指標=藻谷俊介

 「新型コロナウイルスのワクチンの普及が進んでいる国ではマスク着用義務や休業要請が解除され始め、日本国内もコロナ後に向けていささか浮き足立っているように見受けられる。

 このコラムでも、世界経済の回復ペースの速さを度々取り上げており、日本が流れに取り残されずにいるのは好ましいと思っている。一方で、ワクチンさえ打てばコロナ禍は終わるといった安易な考え方は、接種率が高いのに感染者が再び急増しているイギリスの例を見れば分かるように、失敗につながる。日本の接種率はまだ低いので、なおさらだ。性急になるのも良くない。

 足元の楽観の一つの支柱は、好調な米国経済にあると考えられる。図1が示すように、米国では3度にわたって家計に巨額のコロナ給付金が振り込まれたことにより、家計の可処分所得は従来からの増加トレンドを一度も下回ったことがない。対する家計支出はトレンドを下回りつつも回復を続け、現在ではほぼ過去のトレンドの延長線上に戻っている。

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