教養・歴史書評

実は欧州より残酷!? 下剋上こそ日本近世史の特徴=今谷明

臣下の反逆こそが日本近世史の特徴だった

 下剋上(げこくじょう)とは身分の低い者が上位者を凌(しの)ぎ、勢力を圧倒する意で、もとは漢語らしいが、旧体制の没落を嘆く公家の日記にしばしば登場する。

 戦国時代には中央・地方問わず頻繁に下剋上が起こり、一般によく知られている。周防(すおう)の守護代・陶晴賢(すえはるかた)が主君の大内義隆に背いて打倒した事件、また織田信長が明智光秀に襲撃された“本能寺の変”など、枚挙にいとまがない。信長のごときは松永久秀、別所長治、荒木村重など度々家臣の謀反に遭っており、いわば不断に重臣たちに狙われていたことが分かっている。ひとり光秀の謀反だけを奇異とすることはないのだ。

 黒田基樹著『下剋上』(講談社現代新書、968円)は、上杉氏と古河公方(こがくぼう)の対立(享徳の乱)以降、信長の暗殺までの主要事件を、最近の研究成果を踏まえながら系統的に略述しており、事件史の概略としても興味深い。

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