新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

実は欧州より残酷!? 下剋上こそ日本近世史の特徴=今谷明

臣下の反逆こそが日本近世史の特徴だった

 下剋上(げこくじょう)とは身分の低い者が上位者を凌(しの)ぎ、勢力を圧倒する意で、もとは漢語らしいが、旧体制の没落を嘆く公家の日記にしばしば登場する。

 戦国時代には中央・地方問わず頻繁に下剋上が起こり、一般によく知られている。周防(すおう)の守護代・陶晴賢(すえはるかた)が主君の大内義隆に背いて打倒した事件、また織田信長が明智光秀に襲撃された“本能寺の変”など、枚挙にいとまがない。信長のごときは松永久秀、別所長治、荒木村重など度々家臣の謀反に遭っており、いわば不断に重臣たちに狙われていたことが分かっている。ひとり光秀の謀反だけを奇異とすることはないのだ。

 黒田基樹著『下剋上』(講談社現代新書、968円)は、上杉氏と古河公方(こがくぼう)の対立(享徳の乱)以降、信長の暗殺までの主要事件を、最近の研究成果を踏まえながら系統的に略述しており、事件史の概略としても興味深い。

残り562文字(全文970文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事