タイ・ユニオン・グループ ツナ缶の世界最大手
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タイ・ユニオン・グループ ツナ缶の世界最大手=児玉万里子/348
◆Thai Union Group
タイの大手企業のひとつ、タイ・ユニオン・グループは、ツナ缶(マグロ油漬け缶)の世界最大手メーカーである。水産会社としての売上高は、日本のマルハニチロ、日本水産に次ぐ世界第3位の地位をノルウェーのモウイと競っている。
タイは世界最大のツナ缶生産国だ。ツナ缶の製造と輸出のために、タイ・ユニオン・マニュファクチャリングが設立されたのは1977年。次いで、同じグループとして、88年に冷凍水産物の製造・輸出のためにタイ・ユニオン・フローズン・プロダクツが設立された。この会社が2015年に社名をタイ・ユニオン・グループ(以下、タイ・ユニオン)に変更し、現在に至っている。
水産加工食品は、缶詰、冷蔵、冷凍のいずれかの形で提供されることが多い。タイ・ユニオンの第一の事業分野は、すぐに食べられる缶詰や冷蔵である。ツナ(マグロ)、イワシ、サバ、サケ、ニシンなどの缶詰が中心だ。スーパーやディスカウントストアなどの小売店へ卸される。この分野の売上高が総売り上げの半分弱を占める。
缶詰売り上げの半分以上が、販売価格が高いブランド缶詰である。海外ブランドとしては、「チキン・オブ・ザ・シー」(米)、「キングオスカー」(米)、「ジョン・ウエスト」(英)、「プチ・ナヴィール」(仏)などがある。タイの国内ブランドとしては「シーレクト」などで、いずれもそれぞれの地域で高いシェアを有している。
タイ・ユニオンの第二の事業分野は冷凍で、中心はエビ。ほかにロブスター(大型エビ)、イカ、サーモンなども扱っている。レストランやホテル向けに料理の素材として提供される。この分野の売上高が、全体の4割弱を占めている。
そして、第三の分野はペットフードやその他の高付加価値製品(すり身のスナック、レンジ用食品など)である。この分野…
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週刊エコノミスト
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