サウジアラムコ 世界経済回復追い風、国営石油大手
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サウジアラムコ 世界経済回復追い風、国営石油大手=小田切尚登/349
◆Saudi Aramco
サウジアラムコ(アラムコ)は、サウジアラビアの国営石油会社である。サウジは原油の埋蔵量でベネズエラに次いで世界第2位、生産高では米国に次いで第2位の石油大国である。圧倒的な埋蔵量のため産油コストは低く、原油の質も高い。OPEC(石油輸出国機構)を中心とする世界の産油国の中でリーダー的存在となっている。その実務を請け負うアラムコは世界のエネルギー情勢を左右する存在である。
アラムコの内情は長年ベールに包まれていたが、2019年12月にサウジ証券取引所(タダウル)に上場し、各種データが公表されることで、その姿が世界に知られることとなった。海外の年金基金やファンドなどから資金を集めるために米国など海外市場での上場も模索され、東証での上場計画も一時報道された。価格や情報開示で折り合いがつかず、海外での上場は実現していない。上場したのは全体の同社株式の2%弱にとどまった。株主の大半がサウジ国内の投資家であり、残りの98%はサウジ政府が保有している。
流通する株式数はごく一部に過ぎないが、時価総額は21年3月31日時点で2兆ドル(218兆円)弱で、米アップルについで世界第2位であった(プライスウォーターハウスクーパース調査)。
21年に入りムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、アラムコの株式の1%…
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週刊エコノミスト
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