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実はブッシュ息子以来、「政府の役割拡大」待望論 大機企業支配規制の大統領はその一例=吉村亮太

上下院とも与野党が拮抗している状況の中、大統領令で実施 (Bloomberg)
上下院とも与野党が拮抗している状況の中、大統領令で実施 (Bloomberg)

大企業支配規制の大統領令 根底に「政府の役割拡大」=吉村亮太

 間もなくバイデン大統領の就任から7カ月が経過する。地球温暖化対策を重視した巨額のインフラ投資計画を春先に賑々(にぎにぎ)しく発表したが、着地点が確定するにはまだ数カ月かかりそうだ。政権のレガシー(遺産)になるはずだったが、共和党からの反対はもちろんのこと、民主党内の足並みがなかなかそろわないからだ。

 新政権が発足すると最初の100日間が注目される。バイデン政権の場合、コロナ危機への対応が待ったなしでの船出となったため、生活支援やワクチン接種が最優先された。これらの政策は評価に値するが、前述の通り、継いだ二の矢の方は心もとない。環境、人権、経済格差、雇用・労組、対中競争力、サプライチェーン(供給網)など真面目に詰め込みすぎて、自縄自縛に陥っている印象を受ける。

完了M&A取り消しも

 しびれを切らしつつある支持者を意識したのかは不明だが、大企業による市場支配を阻止するべく、監督強化を指示する大統領令が7月、発布された。独占禁止法の厳格な適用や、各種規制・運用の見直しを連邦取引委員会委員長や関係省庁の閣僚に求めている。

 自由に競争できるビジネス環境が米国経済の発展に寄与してきたのだが、M&A(企業の合併・買収)などを通して市場の独占・寡占化が進んだ。その結果、企業が強くなりすぎたことで相対的に立場の弱い消費者・労働者、農家、中小企業・スタートアップが割を食い、人種間や収入・資産面における格差が広がっているという問題意識が民主党政権の根底にある。

 20ページに及ぶ大統領令には具体事例が列挙されている。消費者の声をくみ上げたよ…

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