独の大水害、気候変動関連か 9月連邦議会選挙に影響も=熊谷徹
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7月14日にドイツ西部を襲った水害は、死者・行方不明者が200人を超え、1962年に北ドイツで起きた洪水に次ぐ大惨事となった。メディアは気候変動との関連を指摘し、9月の連邦議会選挙の結果にも影響を与えるという見方が強まっている。
ドイツの保守系日刊紙『ヴェルト』は、7月15日付電子版で「ノルトライン・ウェストファーレン州のラシェット首相(キリスト教民主・社会同盟=CDU・CSU首相候補)は被災地を視察した際に、『被災した自治体、市民と連帯する』と約束するとともに、『水害の増加は気候変動と関連がある。今後もこのような災害は増えるだろう。我々は温室効果ガス(GHG)の削減や、気候変動への適応を加速しなくてはならない』と述べた」と報じた。
また7月18日に被災地を訪れたメルケル首相も「我々は気候変動との戦いに拍車をかけなくてはならない。GHGの削減には多額の投資が必要だが、気候保護の努力を怠った場合の代償は、さらに高いものになる」と述べ対策の重要性を強調した。
ドイツ保険協会(GDV)は建物や家財の保険損害が最高55億ユーロ(7150億円・1ユーロ=130円換算)に達すると発表したが、鉄道や道路、通信・送電網などへの被害も含めると、国民経済への損害額は数百億ユーロ単位になると見られている。
警報システムの不備も指摘されている。ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は7月31日の紙面で、「ラインラント・プファルツ州のアールヴァイラー郡では、州環境局が7月14日午前中に、郡当局に対して川の水位が過去にないレベルに上昇すると警告した。にもかかわらず、郡当局は同日…
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週刊エコノミスト
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