排出権オークションの早期導入を
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排出権オークションの早期導入を=芹澤成弘
温室効果ガス排出量削減費用を最小化
温室効果ガス排出量の削減には経済的に費用がかかる。その費用を可能な限り抑制しなければ、排出量削減の目標達成は難しい。産業、事業者ごとに削減費用は違うが、費用の低い事業者に削減させれば社会的費用の抑制になる。
仮に、社会のすべての事業者が排出権を買わないならば、事業者に排出量をゼロにするよう要求したとしよう。事業者は削減プロジェクトを計画することになる。それを報告させ、プロジェクトごとに削減量とその費用、さらに削減量単位当たりの費用も計算し、すべてのプロジェクトを削減量単位当たりの費用の高い順に並べる。
例えば、五つの事業者のプロジェクトがあり(図)、事業者1から5の順に単位当たりの費用が高いとする。削減後の排出量目標値が与えられたら、事業者4と5の削減プロジェクトを実施することが社会的費用を最小化する。この場合、社会的費用は、事業者4と5の削減プロジェクト費用の「和」となる。
このように社会的費用を最小化するために、事業者のプロジェクトの情報が必要だが、正直に報告される保証はない。
例えば、先述の場合は事業者1から3のプロジェクトの実施費用を免れるが、無償で免れ得るならば、プロジェクトの実施費用を負担させられる事業者4と5は自分のプロジェクトの削減費用を過大に報告するだろう。そのように過大に報告された費用に基づいて実施するプロジェクトを選別しても、社会的費用を最小化できない。
過大報告を防ぐために、削減費用を免除される事業者に適切な対価を払わせる、つまり排出する権利(排出権)を買わせる必要がある。そのために、実施されるのが「排出権(割り当て)オークション」である。
排出権オークションで、各事業者は(希望)排出量と支払額を入札する。各入札の単位当たりの支払額を計算して、それを「入札価格」とし、入札価格が高い順に並べる。
例えば、図の事業者が、それぞれの削減量とその費用を、排出量と支払額として入札したとすると、事業者1から5の順に、入札価格が高くなる。図と同じ排出量が目標値とすると、排出量合計が排出…
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週刊エコノミスト
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