中園敦二/浜條元保
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編集部から
「おれもあと、何年やれるか」
数年前に九州で取材中、豪腕で知られる社長が、聞いてもいないことを自ら語り出したから驚いた。矢継ぎ早に質問をしていたら「今はメモを見ずに話せるが、10年後は頭も、体もついていけるか」と天井を見つめた瞬間があった。
オーナー系企業の後継者問題ほどややこしいことはない。もうかりそうな事業を手当たり次第に丸のみし、口に合わなければ吐き出して何食わぬ顔で業界を泳ぎ回る“大物”になると「おれのDNAは浸透した」と満足しても、周りをみればYESマンばかりで、物足りなさを感じたのだろうか。
アフターコロナ時代が到来したとしても、これまでにない「下り坂」が待ち受けているかもしれない。後ろを振り向いたら誰もいない経営者は、さぞ孤独だろう。
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週刊エコノミスト
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