中国の医薬品開発受託最大手「ジョイン・ラボラトリーズ」の素顔=富岡浩司
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ジョイン・ラボラトリーズ(チャイナ) 中国最大手の医薬品開発業務受託=富岡浩司/352
◆JOINN Laboratories(China)
ジョイン・ラボラトリーズ(チャイナ)は中国最大手の医薬品開発業務受託機関である。医薬品企業や医療機関、行政機関などの依頼により、医薬品の各種試験(治験)に関わる業務を受託している。中国国内での薬品の安全性試験に焦点を当てた非臨床分野で優れた実績を上げ近年急速に成長してきた。2017年8月に上海証券取引所に上場し、21年2月にはさらに香港証券取引所に上場した。
臨床試験は、ヒトを対象として薬や医療機器などのさまざまな医療手段について、その有効性や安全性などを確認するために行われる。同社が行う非臨床試験は、ヒト以外の動物を対象として臨床試験の前に実施する。
同社は1995年に中国初の非臨床分野の医薬品開発業務受託として北京で設立され、現在の事業拠点は北京や蘇州、重慶、広州など中国と、米国のサンフランシスコとボストンだ。北京の主要研究施設は95年に国家重点プロジェクトの一つとして建設された。
同社の北京の研究施設は、中国だけでなく世界でも運営面での安全性が評価されている。05年に中国国家薬品監督管理局の優良試験所基準を取得し、09年と13年には米食品医薬品局(FDA)の実地調査による認証をそれぞれ取得している。北京と蘇州の研究施設内の動物実験施設はすべて国際基準に合致している。また、重慶と広州の研究施設は現在建設中で23年に稼働する見通しだ。
海外での企業買収も行った。19年に米マサチューセッツ州を拠点とするバイオ企業Biomere(バイオメレ)を買収した。バイオメレは国際的な顧客ベースを持ち、顧客からの評価も非常に高い企業である。さらにカリフォルニア州でも事業を拡大中で、米国の東・西海岸の双方でのビジネス基盤の確立を進めている。
世界市場は…
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週刊エコノミスト
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