週刊エコノミスト Online編集後記

種市房子/神崎修一

編集部から

 20年ほど前、ビールの年間シェアで当時の王者・キリンビールがアサヒビールに抜かれた。キリン内では、首位陥落を伝えた報道に「アサヒばかり良く書かれて、当社の事情が書かれていない。広報対応が悪かったのでは」との厳しい声も上がった。これに対して広報担当部長は「広報は組織内で唯一の野党。会社の論理だけを優先するわけにいかない。報道を謙虚に受け止めよう」と毅然(きぜん)とした態度を取った。

 この話を、菅義偉氏の首相会見を見て何度も思い浮かべた。再質問を受け付けず、質問が出ているのに会見を打ち切る広報は官邸の都合優先で、「組織内の野党」にほど遠かった。

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