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週刊エコノミスト Online 不動産コンサル長嶋修の一棟両断

65年前のマンションは初任給の230倍

1962年の同潤会青山アパート。2003年に取り壊され、跡地は表参道ヒルズとなった 池田信さん撮影
1962年の同潤会青山アパート。2003年に取り壊され、跡地は表参道ヒルズとなった 池田信さん撮影

65年前マンションは高根の花=長嶋修/110

 これから数回に分けてマンションの歴史を振り返り、今後の課題や未来予測などを提案したい。

 日本最初期の近代的共同住宅として知られるのが「同潤会(どうじゅんかい)アパート」(1926年以降)。木造住宅が主流だった当時、関東大震災(23年)による全壊・全焼した家屋などは計約30万棟超にも上った。多くの人々が住まいを失うことになり、国が「財団法人同潤会」を設立。耐震・耐火性に優れた鉄筋コンクリート(RC)造りの集合住宅の供給を始めた。これが国内で近代的集合住宅が普及するきっかけになったといわれる。

 一方、民間が分譲するマンションの先駆けといわれるのが56年に完成した「四谷コーポラス」(戸数28戸。売り主は日本信用販売=現日本信販)。分譲価格は3LDKで230万円だった。当時の大卒の初任給は1万円程度だから、超破格の高額物件だ。住宅ローンはなく、現金もしくは割賦販売(分割払い)という形式だった。著名人や医師、大学教授などが多く入居した。

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