週刊エコノミスト Online 不動産コンサル長嶋修の一棟両断
郊外駅徒歩10分超は今が最高値/111
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「実家が空き家になったら」と、漠然とした不安を持っている人が多い。典型的なのは1947~49年生まれのいわゆる「団塊世代」を中心とした人口ボリュームゾーンを親に持つ、40~50代の「団塊ジュニア世代」だ。
団塊世代はマイホームが夢であり、共同住宅であるマンションではなく「一国一城の主(あるじ)」として一戸建てを都市郊外に持つのが“住宅すごろく”のゴールだった。しかし、ジュニア世代は圧倒的に共働き世帯が多く(図)、かつ自動車保有率は低いこともあって「都心」「駅前」「駅近」を求める。都市郊外駅から徒歩15分以上、ましてやバス便を利用する立地に住む親の実家を将来引き継いだとしても、そこに住むつもりはない。
日本人の平均寿命は男性が81・64歳、女性は87・74歳(2020年厚生労働省)。もちろん、親には元気で長生きしてほしいが、やがて実家が空き家になった時、そこには住宅ニーズがないことを分かっている。一方、親世代はかつての都市郊外ベッドタウンにそこまでニーズがないとは思いもよらず、さほど問題意識もない。
既に現在の住宅購入ボリュームゾーンは30代中盤となり、ジュニア世代よりひと回り下であり、人口は団塊世代の半分以下だ。そのうえ団塊世代のように住宅の「所有」にこだわる風潮はなく、団塊ジュニア世代より共働きの比率がさらに高く、自動車保有率は一段と低い。既にこんな状況下にあり、さらに時間が経過…
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