中世史家の「京語り」 四季の花々に託す愛憎=今谷明
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日本人と「花」といえば、門松から始まり、4月の花見、5月の菖蒲(しょうぶ)など、年中行事はたいてい花とセットで表現される。欧州発祥のトランプになぞらえて言うなら、日本は花札ということになるが、これまた四季12カ月を花で表象し、しかもそれが賭博の材料にされることもあるのだから、日本人の花への愛着は格別なものがある。
桜花の下で人々が連歌会(れんがえ)を催す「花の下連歌」は鎌倉時代ごろに始まったらしいが、豊臣秀吉の「醍醐(だいご)の花見」を持ち出すまでもなく、桜の下で宴を催すのは中世に始まるらしい。『万葉集』では桜花が称揚されてはいないからである。
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