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週刊エコノミスト Online 学者が斬る・視点争点

価格比較サイトで割安品探せるか=松島法明

求められる仲介手数料率の透明化

 商品の価格を比較するサイトを利用することで、価格の探索が容易になるので、消費者は相対的に安価なところから購入できる。一方で、価格比較サイトは無料で運営されているわけではなく、各参加企業と消費者との間で取引が成立したとき、参加した企業から手数料を徴収していると予想される。ここで40年以上前の議論を三つ紹介し、これらの知見を組み合わせた最近のデービッド・ロナイン(イギリスの経済学者)の研究を紹介して説明したい。

 まずはジョゼフ・ベルトラン(19世紀末のフランスの数学者)のモデルを見てみよう。全く同じ商品を販売する企業がA、Bの2社あるとする。生産費用はゼロで、これら商品に対する各消費者の評価額は「v」で共通とする。この状況で2社から価格を提示されたとき、全く同じ商品なので消費者は少しでも安い価格を提示した企業から買うことになる。この消費者の行動を読み込むと、各企業は価格をゼロにするのが最適な反応になり、相手企業が価格ゼロを提示しているときに価格を変化させても状況を改善できない。値上げしたら消費者は来ないし、値下げすると赤字になってしまう。この帰結は企業数を増やしても成立する。

 第二にピーター・ダイアモンド(米国の経済学者で2010年ノーベル経済学賞受賞)が提案した、消費者が価格を探索する費用をこうむる状況を考える。売られている商品の特性は先ほどと同じ。各消費者は販売するA、Bの2社のうちからどちらか1社を無作為に選んで価格を調べる。初動は探索費用がかかると、そもそも買い出しに行かないかもしれないので、初動の探索費用はゼロとする。最初の探索で調べた企業の価格は把握できるが、追加の価格探索をするかを検討する。

 このとき、わずかだが探索費用がかかるとする。追加で価格を探索する費用がかかる場合、その費用がわずかでも、それぞれの企業が設定する商品の価格は劇…

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