中国のエネルギー安保は「高い輸入依存度」が泣きどころ=真家陽一
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高い資源の輸入依存度 備蓄や生産拡大に躍起=真家陽一
「国家備蓄は国家統治の重要な物質的基礎であり、戦略・緊急物資備蓄の安全管理を強化しなければならない」。8月30日に開催された中央全面深化改革委員会第21回会議において、習近平国家主席はこう指摘した。同会議では「体制メカニズムの改革・整備による戦略・緊急物資備蓄の安全管理強化に関する若干の意見」が審議・採択され、「大国の地位にふさわしい国家備蓄力と緊急対応能力を備えなければならない」ことが強調された。
こうした動きの背景にあるのが、資源・エネルギーの輸入依存度の高さだ。石油は7割、天然ガスは4割に達しており、しかも「この比率は上昇することはあっても低下することはない」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構〈JOGMEC〉の竹原美佳上席研究員)と見られている。
習近平政権は、今年からスタートした「第14次5カ年計画」(2021~25年)の経済・社会発展に関わる主要指標に、新たに「安全保障」の項目を加え、エネルギー総合生産能力(石炭・石油・天然ガス・非化石エネルギー生産能力の合計)を25年までに標準炭換算で46億トン以上にすることを「拘束性指標」(政府主導で必ず実現しなければならない指標)として掲げている。
また、資源・エネルギーの安定調達に向けて、計画では「備蓄規模の拡大および政府備蓄と企業備蓄の相互補完体制の整備」がうたわれており、備蓄の強化によりセーフティーネットの拡充を推進する意向が示されている。
さらに、計画では「国内生産量の基礎を固め、安定生産・増産を維持」という方針も打ち出されている。
商品価格の高騰も
事実、中国企業は海外よ…
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週刊エコノミスト
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