“リベンジ消費”なるか カギは年度内「貯蓄率1%」の実現=斎藤太郎
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個人消費が急回復する可能性=斎藤太郎
緊急事態宣言がようやく解除され、消費回復への期待が高まっている。
日本は2021年に入ってから、ほとんどの期間で新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令されていたため、個人消費の低迷が続いてきた。国内総生産(GDP)統計の個人消費は21年1~3月期が前期比1・3%減、4~6月期が同0・9%増と横ばい圏の動きとなっており、宣言対象地域が拡大した7~9月期は減少に転じたとみられる。
しかし、10月以降は宣言解除を受けた行動制限の緩和によって、これまで大きく落ち込んでいた外食、旅行などの対面型サービス消費が回復に向かう可能性が高い。
家計の可処分所得は、特別定額給付金の影響が一巡したこともあって低迷している。しかし、コロナ禍の行動制限によって消費性向(可処分所得のうち消費が占める比率)が平常時よりも大きく低下しているため、家計の貯蓄額は高水準を維持している。
家計貯蓄率は、消費の急激な落ち込みと定額給付金の支給が重なった20年4~6月期に21・8%へと急上昇した後、低下しているが、直近(21年1~3月期)でも8・7%と平常時に比べれば依然として高い水準にある(図1)。このことは、行動制限の緩和によって貯蓄率が平常時に近い水準に戻るだけで、個人消費が急回復する可能性があることを意味する。
「貯蓄率」がカギ
筆者の考えるメインシナリオはこうだ。…
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週刊エコノミスト
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