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週刊エコノミスト Online 闘論席

トレードオフ関係にある人間の健康と地球の健康=池谷裕二

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

池谷裕二の闘論席

 先進国では健康リスクの第1位は、食事に関連したリスクである。つまり、食生活の管理は健康の維持への最短経路である。「富裕層はかっぷくがよい」というイメージは昔の話。現代では肥満はむしろ貧困層に蔓延(まんえん)している。どちらかといえば富裕層ほど健康に気を使う傾向があり、体形もスレンダーだ。米国での調査によると、所得や教育水準の高い人は、野菜や穀物、ナッツ、未加工の赤身肉など、いわゆる健康的な食材を好み、砂糖の摂取が少ない傾向が見られる。

 それならば健康的な食スタイルを世間に広く教育したらよい──。そう考えたくなるところだが、中国・清華大学の刘竹博士らは「この判断は性急だ」と指摘する。博士らは、2005年から16年にかけて行われた米国国民健康・栄養調査(NHANES)のデータを調べ、食生活が環境に与える影響を割り出した。食料はしばしば農業や放牧に依存しており、地球の生態系に負荷がかかる。解析の結果、1人の食事をまかなうために、1日…

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