バイオの寵児、米モデルナは初の黒字転換。接種回数は世界で最大40億人見込み=小田切尚登
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モデルナ バイオの寵児=小田切尚登/3
◆Moderna
新鋭のバイオテクノロジー米企業である。遺伝物質メッセンジャーRNA(mRNA)に基づくワクチンの開発・生産に特化している。最初に商業的な生産を始めたのが新型コロナウイルスのワクチンであり、世界で感染拡大が始まった2020年、42日間という驚異的なスピードで完成した。各国で広く接種されるようになり、モデルナはバイオ企業として他に類のないような急成長を遂げている。
伝統的なワクチンは非常に弱い病原体(ウイルスやバクテリア)を体内に入れることで、侵入者であるウイルスに対する抗体を持たせる。しかし、モデルナのワクチンはmRNAの働きを利用している点が異なる。mRNAは遺伝情報を伝えてタンパク質を合成させる役割を持つが、これが体内の細胞に特定の病原体を作るように指令を出し、それにより免疫が作られる。モデルナ(Moderna)という社名はmodified RNA(修飾RNA)の略である。
現在、コロナウイルス・ワクチンは、mRNAに特化しているファイザー/独ビオンテックの連合、モデルナの二つがリードしている。これらの二つのワクチンは有効性が高く、多くの変異株に対しても効果があり副反応も少ない。20年11月の試験でモデルナのワクチンは疾患の予防に94%、ファイザーは95%の有効性をそれぞれ示した。米国ではファイザー/ビオンテックが2億2000万人、モデルナが1億500万人に接種されている(9月20日現在)。
最大のバイオ上場
モデルナは10年にmRNAワクチンに特化するベンチャーとして創業した。当初から高い技術力が注目されていたが、コロナ禍以前は商業的に生産するような製品がなかったため、20年までずっと最終赤字だった。
18年に米ナスダック証券取引所に上場し、6億ドル(約678億円)超の資金を調達した。これは今なおバイオ企業上場とし…
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週刊エコノミスト
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