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「追跡が怖い」は杞憂、Web広告の隠れた利点とは=加藤木綿美

    ウェブ広告の隠れた利点=加藤木綿美

     電通の「2019年日本の広告費」によれば、国内広告費のうち、インターネット広告は2兆1048億円となり初の2兆円越えを達成、同年のテレビ広告(1兆8612億円)も初めて上回り、「ウェブ広告主流元年」といえる年となった。広告におけるウェブの重要性は、年とともに大きくなっている。このウェブ広告、一見すると企業のみに利点があるように思われがちだが、実は消費者側にも大きな恩恵を与えてくれている。

     近年、ウェブ広告の世界で主流の戦略の一つになっているのが、「追跡型広告(行動ターゲティング広告)」だ。

     インターネットを利用している人なら、EC(電子商取引)サイトなどである商品を見た後に、他のサイトでも関連商品のウェブ広告ばかりが表示されるようになった、という状況を誰もが一度は経験しているだろう。これが追跡型広告で、消費者の行動を追跡・分析し、その情報を取得する「トラッキング」という技術を用いた、広告運用の代表的な手法となっている。

    9割の人が“追跡拒否”

     しかし、消費者側のトラッキングに対する印象は、必ずしも良くない。

     たとえば、iPhone(アイフォーン)のアプリを使っていると、「他社が所有するアプリケーションやウェブサイトを横断してあなたを追跡することを許可しますか?」のような表示を見る機会がある。これもトラッキングの一種で、アイフォーンでは、アプリとは関係のないウェブ利用や、異なるアプリをまたぐ形でユーザーを追跡する際は、ユーザーの明示的な許可が必要になるという決まりがある。

     しかし、広告分析を行う米フルーリー社による調査では、全世界530万人のアイフォーンのユーザーのうち、トラッキングを許可したのはわずか12%に過ぎず、88%ものユーザーが追跡を無効にしているという。

     これは、「何が追跡されるのかは分からないけど、なんだか気持ち悪い」といったように、自分の行動を第三者に追跡されることに対する恐怖があるためだと思われる。しかし、筆者はこのような恐怖は無用の心配だと考える。トラッキングを許可したとしても追跡されるのは、生年月日、メールアドレス、電話番号といった直接的な個人情報ではなく、どのようなことに興味関心を持っているのかという間接的な個人情報だからである。

     そもそも、トラッキングではどのような情報が追跡・分析されるのだろうか。内容は主に…

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