アフリカの顧客向けEC運営で成長中の独ジュミア・テクノロジーズ=宮川淳子
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ジュミア・テクノロジーズ アフリカでネット通販利用者を急増させる/7
◆Jumia Technologies
ジュミア・テクノロジーズ(ジュミア)は、アフリカ大陸で成長中のEC(電子商取引)プラットフォーム運営に特化するドイツ企業だ。商品の売り手(第三者)からのプラットフォーム利用料と買い手からの配送・支払いサービス料金を主な収益源としている。売り上げ規模は約1億4000万ユーロ(約183億円)とまだ小さく、営業費用や投資費用を賄うことができないため、2012年の創業以来、営業損益と純損益の赤字が続いている。
19年4月にニューヨーク証券取引所に上場した。ジュミアの業績が黒字化できる時期を予想することは現段階では難しいものの、潜在的なアフリカ・ビジネスの成長力に対する期待は高い。ジュミアのECサイトの1年間1回以上の利用者数は20年は680万人と前年比11%増、17年の270万人から2・5倍に増加した。
アフリカ大陸は55の国・地域に約13億の人口を持つ巨大な市場である。国連の予想では、アフリカの人口は20年代に中国とインドを抜き、長期的に人口増加を維持する唯一の地域になると考えられている。特に人口がすでに2億人超のナイジェリアはジュミアの最大の市場で、インターネット環境に慣れた若年人口が増える。
一方、アフリカの経済規模は米国の10分の1程度とまだ小さく、19年名目GDP(国内総生産)は2・3兆ドル(約262兆円) にとどまる(国連・IMF統計)。アフリカは10年代以降、資源輸出から内需型成長への移行が緩やかに進み、携帯電話や家電を持つ中間所得層の厚みが増しつつある。
ただ、ネットやECプラットフォームの利用が中間所得層に浸透するにはまだ年数を要するかもしれない。このため、ジュミアはネット利用率と経済規模の観点から成長性が低いとされるカメルーン、ルワンダ、タンザニアから撤…
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週刊エコノミスト
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