世界で広がるクリーンエネルギー。地熱発電大手の米オーマット・テクノロジーズ=児玉万里子
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オーマット・テクノロジーズ 売上高の5割を海外で稼ぐ=児玉万里子/9
◆Ormat Technologies
米国のオーマット・テクノロジーズ(オーマット)は、地熱発電の大手企業である。米国の地熱発電は1970~80年代に拡大したが、90年代になると景気低迷や電力自由化の影響で発電コストの高い地熱発電は事業者の整理・統合が進んだ。再び注目されるようになったのは、21世紀に入ってコスト競争力が増してからだ。もともと米国は地熱資源量で世界トップ、地熱発電設備の発電容量でも最大規模を誇る。
オーマットは、イスラエルのオーマット・インダストリーズ(インダストリーズ)の米国子会社として94年に設立された。親会社は65年設立の発動機メーカー。2004年にグループが再編され、地熱発電などの事業はオーマットに移管された。同年に、株式をニューヨーク証券取引所に上場。その後、15年にインダストリーズを合併して、今日に至っている。
唯一の垂直統合型
オーマットは、地熱資源の開発から発電まで一貫して手掛ける。世界で唯一の地熱事業垂直統合の企業である。地熱発電は低温・小型のバイナリー方式をとっており、この方式では圧倒的なシェアを持つ世界トップ企業だ。
第一の事業は発電だ。米国内で地熱、太陽光、回収エネルギー(排熱)による発電所、米国外で地熱発電所をそれぞれ建設し、所有して運営している。発生する電気を長期の固定価格契約のもとで提供している。この発電事業の売上高が全体の約8割を占める。21年2月現在、米国内15カ所、海外5カ所の地熱発電所を有し、発電容量は932メガワット。過去10年間の同社の地熱発電所の設備利用率は86~90%と高い水準に維持されている。
第二の事業は、発電設備等の製造販売で、自社の発電所で使用する設備を除くと、ほとんどが米国外で提供される。
オーマットの20年12月期の売上高は7億ドル…
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週刊エコノミスト
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