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週刊エコノミスト Online学者が斬る・視点争点

郵便局整備は地元有力者活用=伊藤真利子

明治の黎明期、国費の節約に

 明治維新以降の近代国民国家の形成によって、郵便は、全国どこにいても誰もが同一の恩恵を受けられるユニバーサルな国民サービスとして法的に義務化された。日本の場合、ユニバーサルな郵便ネットワークの担い手については、11月9日号の当欄で述べたように、信書の輸送機能をこれまで担ってきた、旧体制の運送業者である飛脚業が廃され、点と点を結ぶ基幹線については、いちはやく旧宿駅(しゅくえき)制度を再編し、官独占が確立した。

 しかし、郵便ネットワークを全戸に届かせる集配機能については、明治維新前の地域ネットワークに依存せざるを得なかった。このため、ネットワークの結節点となる施設については、経営形態の異なる郵便局あるいは窓口が多層的に成立し、以降郵便局の特徴となった。加えて、郵便ネットワークを支える組織として郵便局が設置されて以降も、目まぐるしい変遷を続けた。本稿では、まず近代的郵便ネットワークを支える組織である郵便局の成立過程を見ていくことにしよう。

 1871年の郵便制度の創業に伴い、東京・京都・大阪の3府に郵便役所が、東海道筋の宿駅には郵便取扱所が設置された。郵便役所は、3府の郵便物の集配・運送業務を行うと同時に、切手売りさばきの管理を担当した。郵便取扱所は、各駅に設置され、独立した建物はなく、府県藩の官員が郵便物の運送と配達の任に当たることとされていたが、実際には、郵便取扱人に指名された旧飛脚業者などが実務を請負制で処理していた。

 郵便取扱所の前身は、主として街道筋の宿駅である。そして、郵便取扱所の長である「郵便取扱人」に任命されることが多かったのは、長年にわたって飛脚業務に携わってきた問屋役である。翌72年の大蔵省議では、郵便取扱人を地域社会の信頼が厚い有力者層から採用し、準官吏待遇として少額の手当てで取扱役に任じ、局舎を無償提供させ、請負制で業務を担当させる方針を決定した。

維新後の新たな役割

 そもそも江戸時代の公用便である「お触れ」は、庄屋(名主)─組頭─百姓代という「村役人」のネットワークを通じて村々の各戸に周知された。また、同じく公用便である「願書」類については、百姓代─組頭─庄屋という経路を使って村でとりまとめられた後、村から地域(大庄屋)、さらに代官所などを通じて領主に届けられていた。村役人は、そのために必要となるスペースとして自らの屋敷地を…

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