神崎修一/稲留正英
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編集部から
今号の「情熱人」(46~49ページ)で貨物列車を舞台にしたミステリー小説『シークレット・エクスプレス』を刊行した作家の真保裕一さんのインタビューを担当した。率直に感じたのは、真保さんの取材の緻密さだ。
運行ルートを実際に訪れたというだけに沿線の描写は細かい。武蔵野貨物線という「知る人ぞ知る」路線も登場する。真保さんは「ただ面白い物語を書きたいだけ」と話し、取材の苦労を感じさせない。運転士がわずかな揺れの違いから積み荷の謎に迫るシーンもあり、物語は臨場感にあふれる。
私も記事の参考になればと、貨物列車が多く走る新鶴見信号場(川崎市)周辺を歩いてみた。行き先表示や案内もなく、淡々と走る貨物列車は地味だ。しかし小説を読んだ後は、どこかで親しみも覚えるようになった。プロの仕事の面白さを伝える技術の中にもプロの技が光ると感じた。
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週刊エコノミスト
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