中国のスポーツブランド「李寧」はいかにして復活を遂げたのか=富岡浩司
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李寧(リーニン) イメージ刷新で若者が支持=富岡浩司/11
◆Li Ning
李寧は中国を代表するスポーツ・ブランド企業で、1990年に現・共同最高経営責任者(CEO)の李寧氏が設立した。李寧氏は84年にロサンゼルス五輪で個人種目別ゆか、あん馬、つり輪で金メダルのほか、団体も含めて合計六つのメダルを獲得し、国内で「体操王子」と呼ばれる中国の英雄的なスポーツ選手だ。2008年の北京五輪開会式でも最終ランナーとして聖火に点火している。
メインブランドは社名の「LI─NING」で、製品は競技選手用と一般向けレジャー用の両分野において、シューズとアパレル、アクセサリーの3種類で展開している。ブランド戦略から市場リサーチ、製品デザイン、製造、流通、小売りまで一貫したサプライチェーンを確保した経営を行っている。バスケットボールや陸上競技などに競争力を持つ。また、「LI─NING」ブランド以外でも、ヨガやダンスウエアの「Danskin」などのブランドも展開している。
ここ数年の業績と株価の値動きは好調だ。株価は新型コロナウイルスの感染拡大が始まった20年3月の20香港ドル台に対して、21年9月には一時、上場来最高値の108・20香港ドルまで大幅上昇した。ワクチン接種の広がりによる経済活動の再開で、21年6月中間決算は売上高が前年同期比65%増の101億元(約1700億円)、純利益は同2・8倍の19億元と収益が拡大した。
業績低迷が続いた時期も
前年のコロナ禍で落ち込んだ反動のほか、新疆ウイグル自治区の人権問題に抗議している米ナイキやスウェーデンのアパレルメーカーのH&Mなど、欧米の有名ブランドが中国国内で売り上げを落としたという要因も寄与している。同時に、独自のブランド戦略と製品開発力の向上が大きく貢献したことは間違いない。
創業から現在までの道のりは順風満帆ではなかった。先行する国産メー…
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週刊エコノミスト
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