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週刊エコノミスト Online学者が斬る・視点争点

戦前の郵便支えた特異な構造=伊藤真利子

小規模局の経費過少、作業は膨大

 日本の郵便局の特徴として、旧三等郵便局、特定郵便局のような小郵便局が切手売りさばきや郵便貯金、簡易生命保険など多様な窓口業務を担い、局員が総合服務で従事してきたことや、「全国郵便局長会」の存在が挙げられる。全国郵便局長会は、現在全国約1万9000人の小規模郵便局の局長から成る任意団体である。

 戦前日本における郵便事業の成長と発展は、官独占・均一料金によるスケールメリットを前提に、三等郵便局の特殊な経営負担構造によって支えられていた。すなわち、三等局は逓信省から一括して支給される請負経費の中から、人件費、物品調達費などを捻出する。局長は、当欄2021年12月14日号でも触れたような歴史的経緯から地元名家・資産家であるがゆえ、自宅を局舎として無償提供し、兼業兼職の収入を郵便局の収支に充てることもできた。このような三等局の負担構造は、現在の日本の郵便制度にどのような影響を与えたのだろうか。

 日清・日露戦争および第一次世界大戦を経験した日本経済は飛躍的な発展をたどる。経済が発展する中、財政拡大により、逓信事業は郵便ネットワークの拡大とサービスの充実、電信電話事業の拡充、郵便振替貯金事業の発展、簡易生命保険事業の開始など多様化しつつ急拡大した。

のしかかる人件費

 第一次大戦後、郵便ネットワークは延伸され、都市域ではより稠密(ちゅうみつ)にすることが目指された。全国の郵便局所数は、1920年代半ばに、局間距離(市内・近郊地は500メートル以上、その他は2キロ以上)などを踏まえて設置基準とされ、25年(8707局)から30年(9954局)の5年間で約1200局増加した。

 34年に「通信事業特別会計」が発足し、郵便事業充実のための固有の財源ができた。36年には郵便局の整備を促すため、「郵便事業更生十カ年計画」が策定された。同計画では、欧米先進諸国の通信機関の局所当たり人口分布状況を参考とし、37年度以降10年間に窓口機関7300局の増設を目指すという野心的なものであった。第一次大戦後、日本が「先進国=一等国」化したとの認識から、世界最高水準に政策目標値を設定したのである。事実、郵便局は36年度には1万1667局だったが44年度には1万4238局と激増した。

 郵便事業を含む通信事業収支を見ると、景気変動を反映しつつも、趨勢(すうせい)的に売り上げを伸ばし…

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