プラスチック飲料容器回収機で世界7割シェアのトムラ・システムズ。循環型経済で注目=児玉万里子
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トムラ・システムズ プラごみや資源回収で収益増/15=児玉万里子
◆Tomra Systems
ノルウェーのトムラ・システムズは、ペットボトルなどの使用済み飲料容器の自動回収機で、世界シェア70%を超えるトップメーカーである。今日でこそ、循環型経済の重要性が叫ばれているが、ペッター・プランケとトーレ・プランケの兄弟がノルウェーで会社を設立したのは、いまから50年前の1972年。同年にはオスロの食料品店に自社製の自動回収機の1号機を設置している。その後ボトル識別技術を確立し、北欧のみならず米国にも進出していった。85年に株式をオスロ証券取引所に上場。
90年代には資源輸送会社を買収し、容器の回収、集積、処理、リサイクルのバリューチェーン(価値の連鎖)を作り上げていった。2000年代に入ると、さらなる展開のための技術を、企業買収によって手に入れていく。センサーによる分別技術、圧縮技術、鉱物資源の選別技術、食品仕分け技術などである。
第一の事業は回収機事業である。使用済み飲料容器の回収機の開発・製造、販売・リース、関連サービスの提供などを行っている。機械の開発・製造はノルウェー国内で行い、一部はポーランドのメーカーに製造を委託している。
同社の自動回収機は、独・北欧などの欧州および北米を中心に設置され、回収した空き缶や空き瓶など飲料容器は年間400億本以上。この部門が総売上高の約半分を占める。
第二は分別・処理機である。なかでも生鮮食品、加工食品の自動選別機や食材の加工処理機(たとえば、皮むき機)などの食品機械の売上高が総売上高の約3割に達する。ほかに、廃棄物や混合金属類の選別や回収をするリサイクル事業、採掘作業の効率化を図る鉱物資源の選別事業も手掛けている。
売上高の構成は、機械本体の販売・リースが全体の3分の2、残りはサービス提供などである。回収から処理・再利用までを一貫して…
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週刊エコノミスト
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