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「企業単位の健康保険」に限界が見えてきたと考えるのはなぜか=高久玲音

長寿化で薄れる組合健保の効果=高久玲音

終身雇用と生活習慣病の深い関係

 現在の健康保険制度の歴史は、今からちょうど100年前にさかのぼる。

 1922年に健康保険法が制定され、27年から従業員10人以上の企業は健康保険組合を通じ、従業員の医療費の支払い、健康診断、健康指導などの健康保険事業を提供しなければならなくなった。従業員300人以上の大企業は独自に健康保険組合を設置できることも取り決められた。これがいわゆる「組合健保」である。

 当時の平均寿命は男性で42歳。40歳時点の平均余命は残り25年だった。企業の従業員は退職後、そう長く生きるわけではなく、企業単位の組合健保は加入者の成年以降の大半の期間をカバーするものであった。企業は福利厚生の充実や従業員の健康維持に努め、従業員は企業の発展のために汗を流す、その構図が成り立っていた。

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