独自ネット店も難しい“脱アマゾン”=加藤木綿美
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物流と決済で市場支配するアマゾン
コロナ禍で電子商取引(EC)市場が成長している。経済産業省の「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、物販系分野におけるBtoC(個人向けビジネス)のEC市場規模は、前年の10兆515億円から12兆2333億円と、21・71%の拡大となっている(図)。
企業が自社商品をECで売ろうとなった際に、最初に想起されるのは「ECモール」への出店だろう。日本の場合はアマゾン、楽天市場、ヤフーショッピングに代表されるようなECモールに出店すれば、簡単に販売を始められるだけでなく、モール自体の集客力と信頼の力を借りることもできる。
一方で、ECモールへの出店による販売にはデメリットもある。モールへの出店は当然、出店料や手数料がかかる他、モールを訪れる顧客はすでに欲しいものが決まっているケースも多く、価格比較されてしまうことになる。
他社よりもコストを下げ、価格の安さを魅力として顧客を引き付けるコストリーダーシップ戦略を取っているような企業であれば、むしろ価格比較は歓迎されるためモールは効率的だ。一方で、コストの安さではない、他社との特異性を作り出すことで顧客を引き付ける差別化戦略を取っている企業や、すでにブランディングが確立している企業にとっては、モールへの出店はデメリットも多い。
進む自社専用ECの導入
そんな中、台頭したのが“アマゾンキラー”と呼ばれる「Shopify(ショッピファイ)」である。ショッピファイはECサイトの開発や運営をサポートするプラットフォームとして近年急成長している。ショッピファイを使ったECモールの数は、世界175カ国、170万店以上に達している。
従来、自社でECサイトを展開するには、サーバーやシステムの導入など手間のかかるステップがいくつも生じていたが、ショッピファイで店舗情報を入力してアカウン…
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週刊エコノミスト
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