インテル 巨額投資で王者復活に懸ける=永井知美
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◆Intel
米インテルは、コンピューターの頭脳部CPU(中央演算処理装置)で世界シェアの約6割を占める、世界2位の半導体メーカーである(2021年の売上高ベース。米ガートナー調べ)。部門別売上高構成比率はパソコン向けCPU等51%、データセンター向けCPU等33%、モノがネットにつながるIoT向け等7%、NANDフラッシュメモリー(スマートフォンやサーバー、パソコンなどのデータ保存に使う半導体メモリー)等が5%など(21年12月期の数値)。
CPU市場はインテルと米アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)の2社による寡占状態で、長らくインテルが圧倒的シェアを占めてきた。高価格・高収益のCPUでデファクトスタンダード(事実上の標準)だったことが、インテルが1992年から16年までの25年間、世界最大の半導体メーカーだった原動力である。
半導体業界は活況を呈している。5G(第5世代移動通信システム)インフラ構築、自動車の電動化、IoT、データセンター関連需要等で元々需要が増加基調にあったところに、コロナ禍でパソコンやタブレット、データセンター向け需要が急拡大したためである。インテルにも追い風が吹いたが、21年12月期連結決算は前年同期比1%増収、18%減益(営業利益ベース)とさえない。
インテルは68年に設立された。70年にDRAM(メモリーの一種)、71年にCPUを世界に先駆けて発表するなど技術力の高さで知られるが、祖業のDRAMでは日本メーカーの猛攻にあい85年に撤退している。その後、CPUに経営資源を集中させ、パソコン市場の拡大とともに急成長した。サムスン電子、TSMC(台湾)と並んで半導体業界の「ビッグスリー」と称されるが、パソコン向けCPUで一世を風靡(ふうび)し、設計、製造技術、販売力のすべてで図抜けた存在だった90~00年代ほどの勢いはない。
インテル不振…
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週刊エコノミスト
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