米国西部劇風のファッションの根強い人気。アウトドアや作業着も手掛けるブートバーン=清水憲人
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ブートバーン 価値観を売るファッション/19
◆Boot Barn
1978年に創業されたブートバーンは米国の西部劇風のウエスタン・ファッションを中心に取り扱う小売企業。デニムなどの丈夫な素材のシャツとジーンズにバックルベルトだ。足元はブーツで固めカウボーイハットをかぶるというのが典型的な装いだ。ブルーカラー向けのワーク・ファッション(作業着)も手掛けている。
ウエスタンやワーク・ファッションというとニッチな印象があるが、米国内の市場規模は約200億ドル(約2兆3000億円)と大きい。この魅力的なニッチ市場において、リーディング企業を目指し事業を拡張してきたのがブートバーンである。
「アウトドア」系を拡充
当初はカリフォルニア州を中心とした米国西部でビジネス展開するローカル企業だったが、近年は積極的に事業を拡大している。2015年には同分野の老舗企業「シェプラーズ」(1899年創業)を買収し、テキサス州近辺のビジネス基盤も手に入れた。12年に8州86店だった店舗数は現在37州289店に増加し、北東部を除きほぼ全米をカバー。今年3月には300店舗に達する予定である。
掲げるビジョンは「アメリカン・スピリッツの提供」。西部を開拓した先人たちが大切にしていた「正直、勤勉、創意工夫、忍耐」という価値観をファッションで体現することを目指す。ターゲットにするのは郊外や田舎に住居を構え、ピックアップトラックに乗り、カントリー音楽を楽しみ、ロデオや自動車のNASCARレースに熱狂する人たち。こうしたユーザー層にアプローチするため地域活動にも力を入れており、ロデオ大会のスポンサーなど、年間に携わるコミュニティーイベントの数は600件を超えているという。
売上高の内訳を製品別で見ると、ブーツが49%、アパレルが35%、その他(帽子など)が16%。属性別では男性用が62%、女性用が26%、ユニセックスが8%、子供用が5%となっている。ARIATやWranglerなどの定番ブランドに加え、CODY JAMES、SHYANNE、IDYLLWINDなどのプライベートブランドの商品もよく売れているという。
戦略面で5年ほど前から力を入れているのが顧客層の拡大である。西部開拓時代さながらの典型的なウエスタン・ファッションには根強い愛好者がいる一方で、主張が強すぎて気軽に手を出しづらい側面もある。
そ…
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週刊エコノミスト
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