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経済・企業挑戦者2022

売り上げの一部を農業支援に Bonchiは農業の課題解決に貢献する新しい果物の買い方を提案する

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

樋泉侑弥 Bonchi(ボンチ)代表取締役社長 ECサイトで山梨の農業支援

 運営する果物専門のEC(電子商取引)サイトでの売り上げの一部を若者の就農支援などに活用。買うことが農業支援につながる新しい果物の買い方を提案する。

(聞き手=加藤結花・編集部)

 モモ、サクランボ、ブドウなど最高においしい山梨県産の果物などをECサイトで販売しています。ただの通信販売ではなく、うちの商品を買ってもらうことで消費者が農業支援に貢献できるというのが最大の特徴です。(挑戦者2022)

 具体的には、当社は売り上げの10%を若者の新規就農の支援、耕作放棄地の買い取り、農家の災害時の補償などに活用しています。農家の問題で急務なのは後継者不足。日本の農家の平均年齢は70歳近く、20代は1%ほどと深刻です。農家は「若い人に来てほしい」と願っていますが、現実を見ると若者の就農を支援できるための仕組みがありません。

新規就農者はベテラン農家と作業しながら技術やこだわりを学ぶ Bonchi提供
新規就農者はベテラン農家と作業しながら技術やこだわりを学ぶ Bonchi提供

 これではどうにもらないと思い、ボンチでは35歳以下の新規就農希望者を支援するプログラムを作りました。山梨県内への移住などに伴う初期費用などを支援するほか、ボンチの契約農家と一緒に作業することで、農業の伝統的な技術やこだわりを学ぶことができます。独立後もボンチと契約を結ぶことで、安定した収入も見込めます。実際、このプログラムを通して地元の20代男性と埼玉県の20代男性の2人が新規就農しました。

 後継者不足の問題解決には「農業はもうからない」というイメージの払拭(ふっしょく)が一つの鍵だと考えています。ボンチが果物を専門に扱っているのも、果物であれば、贈答用などで高い価格でも販売が可能だという理由があります。農家全体を盛り上げるにはハードルが高いですが、そのモデルとしてまずは「ボンチの農家はもうかる」という実績を作っていきたいです。ボンチでは現在、契約農家から相場の1.5~2倍の値段で果物を購入することができています。

身近な果物に価値あり

 海外が好きな母の影響もあり、高校卒業後すぐにオーストラリア留学を決めました。2年間過ごしたシドニーでは価値のある仕事をして人生を楽しく過ごしている経営者や芸術家と交流する機会に恵まれました。自分もやりたいことを見つけてこんなふうに生きたい、という思いを胸に20歳で帰国。人脈を作り語学力を生かすため、東京で就職活動し、アップルジャパンに入社しました。周りの人たちは都会育ちで、学歴もある。「自分には何があるのか」と自問する中で、地元で身近だった果物が東京では驚くほどの高値がついているのを見てピンときました。

 幼なじみと起業に向けて準備を開始。コロナ禍で当時働いていたアップルジャパンの店舗が休業になり、時間ができたため、2020年4月に会社を設立しました。その後、クラウドファンディングサービスのMakuakeで募集したプロジェクトでは、当時の農産物の部門歴代1位の募集額となる約780万円を集めました。

 今取り扱っているのは山梨県の10軒の契約農家の果物だけですが、全国の最高峰の果物を販売できるよう交渉中です。18歳のときに「もう一生戻らないだろう」と思っていた地元ですが、果物を通じた農業支援に地元からも期待をかけてもらっています。


企業概要

事業内容:果物のEC販売、新規就農支援など

本社所在地:山梨県南アルプス市

設立:2020年4月

資本金:50万円

従業員数:4人(アルバイト・パート含む)


 ■人物略歴

ひいずみ・ゆうや

 1998年山梨県生まれ。2016年駿台甲府高校卒業後、2年間オーストラリア・シドニーへ留学。帰国後、アップルジャパンに就職し、東京都内で約3年間勤務。20年4月にBonchiを創業。現在は山梨県を拠点に活動し、週に1回のペースで自らも畑に出て、契約農家の農作業を手伝っている。

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