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「億円超え」大会が増加 企業が目を付け始めたeスポーツ 低コスト高PRの実業団に注目=岡安学

実業団からスターに上り詰める選手の登場も近いかもしれない
実業団からスターに上り詰める選手の登場も近いかもしれない

 eスポーツはテレビゲームを競技として捉え、選手が技術を持って対戦することの総称だ。もとは遊びの一環だとしても真剣に取り組み、高い知識と技術を持つことで、これまでのゲームをプレーする姿勢とは一線を画するものだ。

 ゲーム大手カプコンの格闘ゲーム「ストリートファイターⅤ」やセガのパズルゲーム「ぷよぷよeスポーツ」などをはじめとし、いくつかのゲームタイトルはプロライセンスを発行し、トップで活躍するプレーヤーはプロゲーマーとして、さまざまな方面で活動している。

 日本国内でもその歴史はまだ浅いeスポーツだが、注目度は年々高くなってきた。

 ソニー生命保険の「中高生が思い描く将来についての意識調査2021」では、男子中学生の第2位にプロeスポーツプレーヤーが選ばれた。また、高校生向けのeスポーツ大会である「STAGE:0 2021年大会」では、エントリー総数2145校、2478チーム、5919人の参加があり、若年層における認知度の高さは突出している。

賞金3億円に年棒も保証

 eスポーツを取り巻く環境は、ここ1~2年の間に大きく変わった。特にコロナ禍によりさまざまなエンターテインメント事業が縮小撤退を余儀なくされる中、オンラインでも対応できるeスポーツに期待する声は大きい。

 これまでのeスポーツ大会は、仲間内や一部メーカーによるものがほとんどで、賞金が出ない、もしくは賞金が出ても数万~数十万円程度の少額なものばかりだった。その後、ゲームメーカーやゲームに関わる周辺機器メーカー、パソコン(PC)メーカーなど、ゲーム関連企業が大会の運営やスポンサーとなったり、大会を開いたりするようになり、賞金付きの大会の数が増えたものの、ごく限られた企業のみが参加している状況だった。

 しかし、もはや一大コンテンツとなったeスポーツは、一般企業が出資を行うことも珍しくなくなってきている。海外の大会と比較するとまだ低いが、賞金額や選手への報酬も大きく増額されるようになってきた。

 代表的なのはNTTドコモの例だ。同社はeスポーツ大会「X-MOMENT」を創設、その第1弾として「PUBG MOBILE」というゲームタイトルのリーグ戦を開始した。賞金総額は3億円とこれまでの国内大会の中でも破格で、これとは別に、参加するプロ選手には最低年俸として350万円以上を保証するという。

 プロゲーマーもスター選手が少しずつ増え始め、その選手の競技内容を見るために、非常に多くの人が観戦に参加するようになっている。人気大会であれば国内の動画配信サイトで同時接続30万人を超える視聴者が観戦することもある。視聴者は応援する選手やチームに「投げ銭」をすることでリアルタイムに支援もできるため、賞金以外の収益も上げられる。

 このように、もはやeスポーツはファンビジネス、ライブエンターテインメントとして確立しつつあるといって間違いない。遊びで指す将棋と藤井聡太5冠の指す将棋が同じものでないように、たかがゲームとはいえないレベルまで昇華しているのが現在の姿なのだ。

就業時間にゲームの練習

 一般企業のeスポーツ事業への関わり方も、大会運営やスポンサーだけではなくなってきている。代表的な例がプロチーム運営だ。

 これまでのeスポーツチームの多くは、いわゆる“独立系”と呼ばれるコミュニティー発祥のもので、仲間内で活動することを目的に結成されたものが多かった。それに対して一般企業が母体となるeスポーツチームは、野球やサッカーのように各種ゲームタイトルから有望な人材を募って結成される。

 カードゲームのeスポーツタイトル「シャドウバース」のプロリーグには、すでに多くの一般企業が参入しており、横浜F・マリノス、読売ジャイアンツ、レバンガ北海道、福岡ソフトバンクホークスなど、プロ野球やJリーグ、Bリーグ(国内男子プロバスケットボールリーグ)が母体となるチームが参加している。先に紹介したX-MOMENTが運営する「ストリートファイターリーグ」でも、新たに再春館製薬所のグループ会社である再春館システムが、チームを結成し参戦を発表した。

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