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「AOKI」パジャマスーツの次の一手は=青木彰宏

Interviewer 秋本裕子(本誌編集長) Photo 武市公孝 横浜市都筑区の同社本社で
Interviewer 秋本裕子(本誌編集長) Photo 武市公孝 横浜市都筑区の同社本社で

顧客の声でタイミングよく商品化 青木彰宏 AOKIホールディングス社長

 Interviewer 秋本裕子(本誌編集長)

── 紳士服のイメージが強いですが、他にも複合カフェや結婚式場なども手掛け、大きく三つの事業を展開しています。新型コロナウイルス禍の影響はどうでしたか。

青木 3事業ともマイナスの影響がありました。ファッション事業(紳士服「AOKI」など)では、もともとオフィスでの服装の自由化が進んだことでスーツ需要に逆風が吹いていましたが、コロナ禍で在宅勤務が広がり、さらに大きく売り上げが減りました。エンターテイメント事業(複合カフェ「快活CLUB(クラブ)」など)は在宅勤務によりビジネス利用が減り、ブライダル事業(結婚式場「アニヴェルセル」)も参列者に配慮し延期、キャンセルが目立ちました。(2022年の経営者)

── 2021年3月期は売上高が前期比2割減となり、上場後初の営業赤字になりました。

青木 とにかく売れるものを作ろうと、顧客の声を徹底的にヒアリングしました。ファッション関連だけで約600店舗あり、年間約600万人の顧客と1人当たり30分程度の接客時間を持てることが強みになりました。当初は「マスクがほしい」という声が多かったので「抗菌・洗えるマスク」を20年5月に発売し、累計1200万枚を販売しました。ウェブサイトにアクセスが殺到し、一時はサーバーがダウンしたほどです。

 こうしたヒアリングの結果、生まれたのが「パジャマスーツ」(上下で1万円程度)です。在宅勤務で仕事モードであるのと同時にリラックスもしたいという声が多かったので、通常の商品開発期間の半分の6カ月ほどで商品化しました。「パジャマ以上おしゃれ着未満」をコンセプトとし、20年11月から販売していますが、女性向けや襟付きの商品もそろえ、幅広い世代に受け入れられ、10万着に迫る勢いで売れています。通常のスーツなら半年で5000着売れれば良い方です。購入客の4割が新規購入で新たな客層も取り込むことができました。

── パジャマスーツは話題になりましたね。アクティブワークスーツという商品も出しました。

青木 Tシャツと合わせることを想定した商品で、EC(電子商取引)限定で販売しています。IT系企業に勤める人向けを想定し、伸縮する素材を使って動きやすくしたのが特徴です。裏地やポケットを最低限に抑え、上下で6000円程度という価格設定にしました。通常のスーツは30サイズ程度ですが、アクティブワークスーツは5サイズにしぼりました。

紳士服店舗にテナント

── 複合カフェの快活CLUBが500店ほどに伸び、AOKIの店舗数とほぼ同じにまで増えています。今後の店舗展開は。

青木 快活CLUBはインターネットやコミック、アニメなどが個室で楽しめます。店舗数は右肩上がりに増え、業界トップです。ただ、店舗数でいえば、今後は快活CLUBよりも24時間営業のフィットネスジム「FiT24」を増やしたいと思っています。AOKIの店舗は現在の500店ほどを保ちながらスペースを縮小し、他社の眼鏡店やゴルフ関連商品店にテナントとして入ってもらったり、FiT24などを入れたりして、利益が取れるような態勢をしっかりと作っていきたいです。

── ECでの販売戦略は。

青木 売り上げに占める割合は1%もありませんが、10%程度まで増やしていきたいです。スーツを売る力、接客力があるのでチャット機能で接客して来店を促しています。店舗で買って家で受け取る、オンラインで買って店舗で受け取るなど、うまく使ってもらっていると思います。

 22年3月期の連結営業利益は50億円を狙います。

── 紳士服業界は厳しい状況になっていますが、合従連衡の可能性は。

青木 今のところ考えていません。自社のことで手いっぱいです。ライフスタイルが変わる中で、パジャマスーツのように顧客ニーズを捉えてタイミングよく商品化すればヒットします。規模の時代ではありません。

── いろいろな業態を展開しています。将来はどのような会社を目指しますか。

青木 「ファッション&カルチャーの創造企業」です。入社後、ベビー・キッズ用品事業部を創設しましたが10年もたたずに終了しました。18年にはスーツのサブスクリプション(定額制)を始めましたが、半年で終わりました。失敗したくはないのですが、やってみて分かることもあるのです。その判断を速くして、失敗から学び、挑戦することが大切です。

 当社の全事業の年間延べ利用者は約4000万人、AOKIだけで約600万人いるので、このデータを徹底的に分析します。事業が多角化しているので、他社ができないことをできる強みがあります。それをこれから5年ぐらいかけて考えていきます。

(構成=中園敦二・編集部)

横顔

Q 30代のころはどのようなビジネスマンでしたか

A ビジカジスタイルの「ORIHICA」を開業し軌道に乗せるのに必死な時期でした。今ではショッピングセンター内で業績を上げられるようになりました。

Q 「好きな本」は

A 『勝利と育成を両立させる新時代のサッカーコーチングマニュアル』(カンゼン刊)です。勝ち抜く個人と組織をデータ分析している点が参考になります。

Q 休日の過ごし方は

A 動画サイト「YouTube」のファッション系動画をリラックスして見ていますね。


事業内容:ファッション、複合カフェ・カラオケ、ブライダルなどグループの経営管理

本社所在地:横浜市

設立:1976年8月

資本金:232億8200万円(2021年3月末現在)

従業員数:3487人(21年3月末現在、連結)

業績(21年3月期、連結)

 売上高:1431億6900万円

 営業損失:57億9300万円


 ■人物略歴

青木彰宏(あおき・あきひろ)

 1970年生まれ。東京都出身。国学院久我山高校、成城大学経済学部卒業。94年に現AOKIホールディングス(HD)入社。2003年に「ビジカジスタイル」の先駆けとして「ORIHICA(オリヒカ)」事業を創設。AOKI HD常務を経て10年から現職。51歳。

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