教養・歴史書評

中国哲学史の視座から、過去3千年の世界史を読み解く試み=加藤徹

「人が人になる」とは何か… 古く神もいない中国哲学の地平

 哲学は「動詞」である。「名詞」ではない。知を働かせ「何か?」「なぜか?」と考えるプロセスそのものが哲学だ。思想は哲学の結果にすぎない。が、本の書き手も読み手も、思想史とか、人名・書名の羅列が哲学史だと思い込みがちだ。

 中島隆博『中国哲学史 諸子百家から朱子学、現代の新儒家まで』(中公新書、1155円)は、東京大学教授である著者が水先案内人となり、過去3000年の世界史をめぐる異色の哲学史である。目的地は、現代の混沌(こんとん)とした世界の理解だ。

 著者は喝破する。中国哲学とは「中国における哲学」でも「中国的な哲学」でもない。「中国(語)の経験を通じて、批判的に普遍に開かれていく哲学的な実践」である。著者は既存の常識にも疑念のメスを入れて再考しつつ、中国人がインドの仏教や西洋のキリスト教、近現代の西洋など外の世界といかに対決してきたかを丹念に読み解く。

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