教養・歴史書評

戦国時代以前の江戸はどんな場所? 知られざる歴史の解説書=今谷 明

戦国時代以前の江戸はいかなる状況だったのか?=今谷明

 江戸(現在の東京23区)の状況に関しては、古くから文献に出てくる。在原業平(ありわらのなりひら)が東国に追放された時、隅田川を渡って“都鳥”の歌を詠んだことは『伊勢物語』にある。業平橋などゆかりの地名も残っている。

 近世に江戸川が開削される以前は、利根川が江戸湾に注いでいたので、古代中世の江戸地域は湖沼が多く低湿地で、都市形成には適していなかった。源頼朝が本拠を鎌倉に定めた事実からもそれは推測される。

 齋藤慎一著『江戸─平安時代から家康の建設へ』(中公新書、902円)は、あまり人々に意識されない戦国時代以前の江戸の状況を種々の面から詳述した啓蒙(けいもう)書である。著者は江戸東京博物館の学芸員で、長く江戸の都市史を研究した専門家。

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