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週刊エコノミスト Online 闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

 古代ギリシャの文書を補完する人工知能(AI)が、3月『ネイチャー』誌に発表された。古代ギリシャ時代には、まだ紙は発明されておらず、文書の多くは石板に残されている。石板は、パピルスや木片に比べれば長期保存に向いているが、その硬度が欠点にもなる。石板の大半は割れ、散逸しているのだ。欠損したパーツの碑文を予測し補うことは、古代ギリシャの考古学において重要なタスクとなっている。

 こうした問題が早くから認識されていたため、古代ギリシャ考古学ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の歴史が長い。1980年代には文書のデジタル化が着手され、90年代にはすでに専門家の間で共有され、学術的研究が開始された。こうした背景が今回の先駆的な成果につながった。

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