週刊エコノミスト Online株式市場が注目!海外企業

10~20代若者層向けに急成長、スターバックスと差別化=米ダッチ・ブロス=岩田太郎

米オレゴン州のダッチ・ブロス店舗 Bloomberg
米オレゴン州のダッチ・ブロス店舗 Bloomberg

ダッチ・ブロス 10~20代若者層向けに急成長/27=岩田太郎

 ◆Dutch Bros

 ダッチ・ブロスは、米国の新興コーヒーショップ・チェーンだ。10代や20代の若年層が好む飲料ヒット商品を連発している。飲食スペースを持たないドライブスルーやキオスク形式の店舗出店により投資費用の拡大を抑え、その分節約できたコストを大規模な新規店舗展開に充てるビジネスモデルで急成長を遂げている。

 2021年9月の新規上場(IPO)時点で、すでに上場経費を差し引くと本業で黒字を達成していた。21年12月期の売上高は前年同期比52・1%増の4億9787万ドル(約612億円)で、償却前の営業利益を示す調整後EBITDAは17・7%伸びて8210万ドル(約100億円)に達した。

 創業は1992年で「質の高いコーヒー文化」(同社資料)を持つ北西部オレゴン州が拠点だ。しばしば比較される最大手コーヒー・チェーン、米スターバックス(発祥地は北西部ワシントン州)とのビジネスモデルでの差別化を図っている。

若者向けの独特商品名

 ダッチ・ブロスの飲料は、標準的なコーヒーや牛乳入りのラテのほか、「アイス・タイガーブラッド・レモネード」や「アイス・エレクトリック・ベリー」など奇抜なネーミングを持つ、見た目も斬新な、若い世代の好みに合うものが多い。ホットコーヒーなど温かい飲み物は、同社売り上げ全体の16%を占めるに過ぎず、残りはエナジードリンクの「ブルーレベル(青き反逆者の意)」(同24%)をはじめとするコールド飲料であることが特徴だ。

 ダッチ・ブロスのような、若者を主なターゲットにしたドリンク・メニューはスターバックスなどコーヒーのライバルチェーンではあまり販売されていない。そのため、独特ブランドに引かれたファン層が定期的に来店するのが強みだ。また、若い年齢からの客層を獲得していることは、将来的に長い経営面での安定にもつながる。

 また、小売企業の客足測定調査の米プレーサー・aiは、スターバックスやダンキンドーナツなどの競合から一部の若い客を奪うことにも成功していると分析している。これらの結果、既存店売上高は21年12月期に前年同期比8・4%増だった。

 固定客の口コミなどを基にした事業戦略を立案し、ダッチ・ブロスは直営店とフランチャイズ店を合わせて、西部を中心とした12州に538店を展開している。22年12月期は125店の新規出店を計画しており、ゆくゆくは全米4000店まで引き上げる計画だ。形態としては、フランチャイズより利益率の高い直営店を主に新規出店させる方針だ。

 米国はコロナ禍で働きやすい環境や高い待遇…

残り1019文字(全文2119文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事