教養・歴史書評

人が「集団モード」に変わる時と暴力の関係を研究・分析=荻上チキ

    暴力と「集団モード」 因果関係を研究・分析

    ×月×日

     プーチンが始めた、ロシアによるウクライナ侵略戦争。それ以前も、各地で紛争は絶えず起こり続けていた。大きくは戦争や紛争、身近なところでは抗争やいじめ。こうした争い事は、なぜ起こるのだろうか。

     この疑問に応える学問の一つが、社会心理学だ。人が集団を形成し、他の集団を攻撃するようになるのは、どんな条件なのか。研究の積み重ねを経て、現段階でわかっていることを丹念に整理しつつ、著者自身の最新研究の知見も含めて解説してくれる、かゆいところに手が届く一冊が出た。縄田健悟の『暴力と紛争の“集団心理” いがみ合う世界への社会心理学からのアプローチ』(ちとせプレス、2970円)だ。

     人は一般的に「他人を攻撃するのはよくないことだ」という規範を学ぶ。実際に他人を攻撃することは、罪深さの意識や後ろめたさを与える。でも同時に、一定の条件が整うと、人は攻撃抑制を解除し、むしろ攻撃を良きものとさえ捉えてしまう。本書では一つのキーワードとして、「集団モード」という言葉を用いている。人という存在が、集団に関するモードへとスイッチが切り替わったときのことを指す言葉だ。

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