週刊エコノミスト Online学者が斬る・視点争点

ワクチン接種・非接種者アンケートで分かった意外な排他性=佐々木周作

ワクチン接種者に「身内びいき」

 新型コロナウイルスワクチンの接種者は、未接種者より接種者を「ひいき」する。

未接種者への「差別」に懸念

 あの人は、新型コロナウイルスワクチンを接種した人だろうか、それとも接種するつもりのない人だろうか──。

 街中にたくさんの人が行き交う日常が戻る中で、ふとこんな疑問が頭をよぎることがある。「ワクチン・ハラスメント」と批判されると皆分かっているから、実際にその疑問を表に出すことはめったにない。

 では、ワクチン接種を受けた人は、相手が「未接種者」と分かったら、どう思うのだろう。相手の重症化リスクなどに配慮して接する必要があるという意識を持つかもしれない。または、接種が推奨されてきた中で、それに「同調しない人」と批判的な感情を持つかもしれない。

 接種を受けなかった人は、相手が「接種者」だと分かったら、どう考えるだろう。健康上の理由などで接種を控えていた人であれば、「自分の代わりに接種を受けてくれた人だ」と相手に感謝するかもしれない。また、新型コロナウイルスはそもそも存在しない、ワクチン接種を受けると遺伝子が組み換わる、などの信念を持つ人であれば、「異様なワクチン」の接種者に敵対心を抱くかもしれない。

 平時であれば気にならないはずの「接種者」「未接種者」という「ラベル」が、パンデミック下では顕在化する。同じ社会に生きている以上、そのラベルが自然と意識されなくなる日まで、会社で、学校で、街中で、お互いに協力して、うまくやっていく必要がある。

接種は「自分のため」

 ワクチンの「接種者」と「未接種者」は、そもそもどういう人たちなのか。お互いにどのような感情を持っているのか。そんな疑問のもと、筆者は兵庫県立大学の黒川博文准教授と次のような調査研究を行った。査読を受ける前段階のプレプリントから、事実発見的な結果をいくつか紹介しよう。

 この調査では今年1~2月、全国に居住するインターネット調査会社の回答モニターを約8000人集め、そこから接種者と未接種者をそれぞれ約800人ずつ抽出した。ちょうど、全国的に見て2回目までのワクチン接種率がおよそ高止まりし、高齢層を中心に3回目接種が始まったころだ。オミクロン株が急拡大して、人々の感染予防意識が改めて高まっていた。我々は、2回以上の接種を完了し、今後も追加接種を受ける意向がある人を「接種者」と定義し、一度も接種を受けておらず、今後も受けるつもりがない人を「未接種者」と定義した。

 まず、接種者と未接種者とを比較すると、接種者のほうが平均年齢が高く、既婚者が多く、同居家族の人数も多く、家計年収が高く、教育年数も長…

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