「制脳権」争いとしてのウクライナ侵略=池谷裕二
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池谷裕二の闘論席
「制脳権」という言葉を最近耳にする。要するに「世論操作」で、目新しい概念ではない。用語自体も10年ほど前から提唱されていて新しいものではない。改めてクローズアップされている理由は戦争である。制脳権はもとは軍事的な意味合いで提唱された概念だ。
海を制する「制海権」、空を制する「制空権」。空間を往来する自由を得ることは戦局における重要な要素である。ここ数十年では情報技術や宇宙工学が一気に進み、現在は、インターネット上の情報攻防を争う「制サイバー権」、あるいは宇宙空間ににらみを利かせる「制宇宙権」が注目されている。こうした新世代の戦争は、古典的な戦争とは異なり、目に見える凄惨(せいさん)さがないため、国民の危機感は薄いが、熾烈(しれつ)さとスピード感は従来…
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週刊エコノミスト
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