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良質な砂・砂利と輸送網に強み 建設用骨材メーカーのバルカン=宮川淳子

バルカン・マテリアルズの米カリフォルニア州の工場
バルカン・マテリアルズの米カリフォルニア州の工場

Vulcan Materials 巨額の米インフラ投資が追い風=宮川淳子/38

 米バルカン・マテリアルズ(バルカン)は、コンクリートやアスファルト混合物を作るために使われる砂や砂利などの建設用骨材メーカー。米国の西海岸から東海岸にわたる南部沿岸部に地域を絞った事業戦略で、効率的な経営を行っている。米バイデン政権が進める巨額のインフラ投資計画で、骨材使用量の多い道路・橋梁(きょうりょう)整備への投資が大幅な増加が見込まれるため、バルカンの業績や株価にも好材料となっている。

 建設経済研究所によると、米国の2021年の建設投資は約1.6兆ドル(約216兆円)で、日本の約3.3倍に上る。特に民間セクターの住宅需要は、低い住宅ローン金利と在宅勤務の増加で、過去数年間高い伸びが続いている。一方、公共セクターは建設投資全体の20%程度にとどまり、低成長で推移してきた。

 こうした中、21年11月に成立したバイデン政権のインフラ投資雇用法(IIJA)は、老朽化したインフラへの数十年にわたる大型投資で、公共セクターには特に恩恵が大きいとみられる。IIJAの内容を詳細に調査した米シンクタンクのブルッキングス研究所は、実際に見込まれる支出額は交通関連が68%を占め、中でも道路・橋梁への支出額は約3610億ドル(約48兆円)にのぼるとみている。IIJAの連邦政府からの資金は、州や地方政府に配分され、実際に工事を請け負う建設業者には数年をかけて行き渡ることになる。

採石場の埋蔵量が豊富

 バルカンの21年の骨材出荷の42%は公共セクター向けで、高速道路が売上高の22%を占めている。高速道路については、これまで主な財源であったガソリン税収入の不足もあり、連邦政府からの予算支出額の減少が続き、米国で重要なインフラであるはずの高速道路の整備や改修の多くが見送られてきた。しかし、IIJAの資金は特に骨材を必要とする分野の高速道路、橋の交換と修理などに多く配分されることから、今後数年にわたってバルカンの収益拡大につながる見通しである。

 骨材の性能は砂や砂利の粒度、化学成分、不純物量などの違いで大きく異なり、良質で埋蔵量の豊富な採石場を保有するバルカンの優位性は高い。採石場の新規開設には州や地方政府の許認可が必要で、環境保護の観点や近隣住民の反対などから都市部で新たに許認可を得ることは難しく、競争の抑制につながっている。

 骨材は重くてかさばるが、バルカンは採石場と最終消費地をつなぐ効率的な輸送ネットワークを構築し、主力のトラック輸送の距離を短縮してコストを管理している。また、現在の年間骨材生産量の70倍の埋蔵量を既存の採石場で確保しており、長期的に原材料の安定調達を見込むことができる。

コスト増分を価格転嫁

 22年1~12月期の会社予想業績は、売上高やEBITDA(利払い前、税引き前、減価償却前利益)が…

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