週刊エコノミスト Online株式市場が注目!海外企業

過去8年で株価5倍以上 米プロレス興行のWWE=清水憲人

メキシコでコロナ禍前のレスリング興行に熱狂する観客 Bloomberg
メキシコでコロナ禍前のレスリング興行に熱狂する観客 Bloomberg

World Wrestling Entertainment 「魅せる」プロレス、世界最多視聴動画の一角=清水憲人/39

 ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)は1950年代にビンス・ジェームス・マクマホン氏が立ち上げたキャピトル・レスリング・コーポレーションを祖とするプロレス団体。82年に息子のビンス・ケネディ・マクマホン氏が継いだあとに全米展開を行い、メジャーなプロレス団体の一つとなった。

 99年にナスダック、2000年にニューヨーク証券取引所への上場を果たし、01年にワールド・チャンピオンシップ・レスリング(WCW)を買収。02年に現在の名称WWEに改称した。03年には、経営破綻した同業エクストリーム・チャンピオンシップ・レスリング(ECW)の資産も買い取り、アメリカ最大のプロレス団体と呼ばれるようになった。

 ドラマチックな「魅せる」プロレスが特徴で、会長のビンス・K・マクマホン氏をはじめとし、妻のリンダ、娘のステファニー(チーフ・ブランド・オフィサー)、息子のシェインら、マクマホン・ファミリーも時々リングに上がりイベントを盛り上げる。WWEのレスラーは「スーパースター」と呼ばれるのだが、ケーブルTVなどで放送されるWWEのプロレスは大人気コンテンツであるため、文字通りのスターになるレスラーもいる。例えば、90年代後半から00年代前半にかけて「ザ・ロック」というリングネームで名を馳(は)せたドウェイン・ジョンソン氏は、その後「ワイルドスピード」「ジュマンジ」など数々の映画に出演して大活躍している。

稼ぐメディア事業

 WWEは現在「メディア・エンターテインメント企業」を標榜(ひょうぼう)している。その名称通り、同社の売り上げの大半を稼ぎ出すのが「メディア事業」である。「WWEネットワーク」と呼ばれるインターネット映像配信サービスを自ら提供しているほか、「ロウ」や「スマックダウン」などのプロレス番組の放映権をテレビ局や他の映像配信事業者に販売することで安定的な収入を得ている。

 チケット販売など、プロレスの興行から得られる収入は「ライブエンターテインメント事業」として開示されている。イベントの大半は北米で開催されるが、ヨーロッパやアジア、中東、中南米での興行実績もある。

 収入源はこれ以外にもある。WWEには世界中にファンがいるため、ゲーム化されることも多い。そうなるとゲーム開発会社からライセンス使用料が入ってくる。人気レスラーは、グッズ化されてさらなる売り上げ増に貢献する。これらの収入は「コンシューマープロダクツ事業」として計上される。

 売り上げに占めるメディア事業の比率は19年度時点で77%だったが、コロナ禍でライブイベントの大半が中止になったことを受けて、20年度は89%、21年度も86%とさらに高くなっている。

最大視聴動画の一角

 イベントを手…

残り1133文字(全文2333文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事