新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

週刊エコノミスト Online 株式市場が注目!海外企業

DXのサブスク販売が順調 米クラウド大手のサービスナウ=岩田太郎

ServiceNow 米国政府の業務クラウドに一役=岩田太郎/40 

 サービスナウは米国のクラウドサービスの大手IT企業である。顧客企業における紙の書類や電話による仕事の進め方を、高機能のソフトウエアで置き換え、さらに、従来はバラバラに存在していた各部門のデータ管理をインターネット上で一元化するサービスを提供している。

 創業は2003年で、英国のバークレイズ・グループ、カナダのカナダロイヤル銀行など世界の金融大手、日本では第一生命保険など多国籍大手企業をはじめ、年間契約額が100万ドル(約1億3500万円)超の1400社の顧客などを中心に持つ。主力事業は一定期間のサービス利用権を販売する「サブスクリプション」だ。

 米国をはじめ世界では、デジタル技術で業務効率化やビジネス創出を実現する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が普及している。サービスナウもDXの波に乗り、17年12月期から21年12月期のサブスクリプション売上高の前年比の伸びは年平均で34%と高水準だ。足元では鈍化傾向にあるものの、今後数年間についても20%台後半が見込まれている。12年に株式公開を行った当時20ドル台であった株価は、21年には700ドルを突破した。22年7月は500ドル近辺で取引されている。

 サービスナウの業務は、顧客側のパソコンや携帯端末で動作するソフトウエアの開発と提供、顧客の業務で発生するデータの一元管理や分析加工、さらにITセキュリティーの提供などを柱とする。従来の紙の書類や人手で行っていた作業の流れをまとめてソフトに落とし込み、それら企業の利用者との接点までアプリケーション上で標準化して自動処理するため、顧客企業は本業以外の周辺仕事が減り、本業に集中できるようになる。企業は効率化で浮いた資源を本来のビジネスに還元し、さらなる成長を狙うとしている。

社内メール不用

 近年は、重点分野として金融・通信・医療の顧客企業の開拓に力を入れている。例えば、医療サービス企業の場合では、受付要員が携帯端末で患者を受け入れ、その患者の情報が一瞬で受診科をはじめ、検査担当、会計、薬局、さらには経営部署などに適切な形で共有される。また、組織内で情報の問い合わせを行う場合、関連の部署や別系統のシステムに連絡しなくても、サービスナウのプラットフォームが即座に的確な情報を教えてくれる仕組みだ。

 その特徴はメールやメッセージアプリなどを介在させずに、すべての業務がサービスナウのシステム上で完結する。

政府向けと海外事業

 急拡大の時期を経た米国内の顧客獲得の伸びの鈍化を受けて、サービスナウはカナダや欧州、日本など海外顧客の開拓を進めている。さらに、新機軸として、米国連邦政府からの受注獲得にも注力している。この背景には、バイデン政権による政府内のDX展開加速の方針がある。そのためサービスナウは米IT大手…

残り1038文字(全文2238文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事