教養・歴史書評

江戸幕府の特長は優れた「情報統制」にあり=今谷 明

情報の取り扱いに長けた江戸幕府の特性に新たな光

 江戸幕府八代将軍徳川吉宗が設けた将軍直属の諜報(ちょうほう)組織(密偵)である“御庭番(おにわばん)”は広く知られている。だがそれ以前の諜報についての実態は、体系的な文献や参考書もなく、個別的・断片的な事実が知られるにすぎない。

 例えば寛永6(1629)年、幕府に無断で明正天皇(女帝)が即位したのは大事件であったが、これを幕府に最初に報知したのは「禁裏付(きんりづき)武家」という内裏(だいり)に詰めていた幕府役人であった。

 天正9(1581)年、織田信長が伊賀攻めを行った際、徳川家康の攻め口だけは緩やかだったので、伊賀者はそれを徳とし、家康に追随する者が多かった。また家康は本能寺の変の時、少人数で和泉堺に居て危地に陥り、服部半蔵ら伊賀者の手引きで近江甲賀、北伊賀を経て脱出した経験がある。以上のことから江戸の初期の諜報は、甲賀・伊賀者を主としていたとの説がある。

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