習近平主席の称号 毛沢東に並ぶ「領袖」が復活の兆し=坂東賢治
有料記事
内政、経済、外交と難題を抱えながらも、習近平主席への権力集中が進んでいる。
神格化と党内融和の両立が難題
「人民の領袖(りょうしゅう) 習近平」。中国中央テレビのサイトが7月から習近平国家主席の業績を紹介する特設ページを開設した。秋に開催の中国共産党の第20回大会で習氏が異例の3期目に入り、「偉大な領袖」と呼ばれた毛沢東に並ぶ称号「領袖」が公式に復活する見通しが強まっている。
「領袖」は元々、衣服のえり(領)とそで(袖)のこと。目につきやすい重要な場所であり、古代中国で模範的な人物という意味に転じた。習氏は2019年12月の政治局会議で「人民の領袖」と呼ばれたが、コロナ禍後はメディアでもあまり使われなくなっていた。
香港の有力紙『明報』によると、「新時代の人民の領袖」という名称が有力という。「党の核心」「軍の統帥」に加え、「人民の領袖」の称号が加わることで習氏の権威は毛沢東に近づく。中国の政治学者は「将来、ポストを退いても生きている限りその影響力はナンバーワン」と語ったという。
「赤い遺伝子(紅色基因)を継承し、赤い山河(紅色江山)の後継者を確保して代々引き継いでいかなければならない」。習氏は河北省のリゾート地、北戴河での夏休み期間が終わると、遼寧省を視察。国共内戦の「三大戦役」の一つである「遼瀋戦役」の記念館で共産党体制継続の重要性を強調した。
第一声がイデオロギー色満載だったのが5年に1度の党大会の年らしい。台湾海峡が緊張し、ゼロコロナ政策への固執で経済回復にブレーキがかかる。外から見れば、内憂外患の状況に見えるが、「だからこそ、共産党体制を揺るがせてはならない」という求心力が働く。習仲勲元副首相を父に持つ習氏が革命元老の子弟グループである「紅二代」の代表格。「赤い遺伝子の継承」は習氏の続投の必然性を強調しているように受け取れる。
李首相処遇が焦点に
一方、李克強首相は休暇後、…
残り694文字(全文1494文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める