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AIの発明をAIが審査する日に向けて 池谷裕二

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

池谷裕二の闘論席

 日本を代表する文学賞の一つ「星新一賞」に、今年初めて人工知能(AI)を使った作品が入賞した。AIが編み出したプロットや文章に人間が手を加えて仕上げた共同作品で、100%AIによる創作、ではないものの、早晩、AIが受賞者となっても不思議でない。

 科学界では、AIがノーベル賞を受賞する可能性も真剣に議論されている。むろん、人間以外の「代行者」に科学賞の受賞資格があるかどうかは、賞の規定次第ではある。

 似たような議論が、いま特許制度で湧き起こっている。すでに100を超える国々でAIシステムを「発明者」とする特許出願がなされている。内容はワクチン開発から創薬、材料工学、宇宙技術、船舶など多岐にわたる。特許法は発明者が人間であることを前提に作られている。つまり、「何」が発明されたかと同じくらい、「誰」が発明したかを重視する。この意味で、AI発明の申請は、特許制度の争点に新しい局面をもたらしたといえ…

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