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熱狂の不在、サッカーW杯カタール大会 宇都宮徹壱

W杯カタール大会の会場の一つハリファ国際スタジアム(2011年のアジア大会から) 筆者撮影
W杯カタール大会の会場の一つハリファ国際スタジアム(2011年のアジア大会から) 筆者撮影

 開幕まで50日を切ったサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会。「熱狂と興奮」が確約されてきたイベントだが、今回は盛り上がりに乏しい。サッカー文化が希薄な小国という選択に落ち度はなかったか。

岐路に立つ世界最大の祭典

「なぜ、こんなに盛り上がっていないのだろう」──。

 同業者と顔を合わせるたびに、ため息交じりにそんな話をすることが、すっかり定着している。何が盛り上がっていないかといえば、中東のカタールで今年開催される「FIFAワールドカップ」(サッカーワールドカップ以下、W杯)のことだ。

不評を買った11月開催

 W杯は4年に1度、1994年以降は冬季五輪と同じ年に開催される。第1回大会は30年にウルグアイで開催され、第二次世界大戦の影響で12年のブランクがあったものの、それ以外は4年に1度、連綿と続いてきた。夏季五輪は昨年初めて、奇数年に開催されているが、W杯はパンデミックの影響を受けることなく、開催されることが確実視されている。

 われわれサッカーの世界で禄を食(は)む人間にとり、W杯イヤーは4年に1度の慈雨のような存在であった。要するに「稼ぎ時」であったのだ。ところが今大会に関しては、まるで盛り上がっていない。本稿を書いているのは、開幕60日前だが、この話題を取り上げるメディアも、ほとんどない。

 なぜ、盛り上がらないのか。理由はいくつか考えられる。

 まず、日本代表の本大会出場が、もはや当たり前になってしまったことがある。今回で7大会連続である。森保一監督のチームづくりが、よくも悪くも手堅く、あまり話題性を提供できていないこと。現在の代表の主力のほとんどが海外組であるため、ライトなファンには身近な存在となりにくいこと。そして、かつての中田英寿や本田圭佑のような、強烈なスター性をもった選手が不在であること。

 以上は、日本代表を取り巻く状況である。しかしながら、この状況は日本だけの話ではなさそうだ。ドイツでサッカー指導をしている友人に聞いたら、向こうもあまり盛り上がっていないという。友人いわく「僕の周りでも『カタールに行く』と明言している人は、ひとりもいない」そうである。

 今大会が不評な原因のひとつに「11月開催」というものが間違いなくあると思う。これまでW杯は第1回大会から、基本的に6月から7月の間に開催されてきた。なぜならヨーロッパでは、5月にシーズンが終わるからだ。ところが今回は11月開催ということで、シーズンを途中でぶった切る形で、W杯が行われる。これが欧州のサッカーファンの不評を買っているのは間違いない。

 ではなぜ、今大会は11月に開催されるのか。それは6月のカタールは暑すぎるからだ。日中の気温は50度近く。とてもサッカーができる環境ではない。

なぜカタールか

 つまり「カタールでの開催ありき」で、大会を主催するFIFA(国際サッカー連盟)は11月開催をゴリ押ししたのである。その弊害が、日本のみならず欧州のしらけムードに拍車を掛けている。

 そんなカタールでのW杯開催が決まったのは、2010年12月のFIFA理事会。この時は18年と22年、2大会を決定する投票が行われ、それぞれロシアとカタールが選ばれている。このうち22年大会について、最後まで競り合ったのが米国。だが4回の投票では、いずれもカタールが過半数を獲得している。

 実は私は「カタールが選ばれることはまずないだろう」と高をくくっていた。理由はいくらでも挙げることができる。

 まず、カタールの総人口は300万人で、そのうち9割が外国人労働者。国土は秋田県ほどの小国である。これほど小さな国で、32…

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