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利上げで政府の利払い費を増やすことは悪いことなのか 熊野英生
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円安止めない日銀 介入しか手がない政府
為替レートは10月21日に一時、1ドル=151円台と歴史的な円安水準になった。輸入物価を上げ、暮らしに欠かせない食料品やエネルギー価格を上げる犯人である。
対応が注目される中、日銀は28日の金融政策決定会合で政策の現状維持を決めた。黒田東彦総裁は記者会見で「今すぐ金利引き上げとか『出口』が来るとは考えていない」と答えた。従来の「1、2年は金利を上げない」という姿勢を踏襲した形だ。
困っているのは政府の方だ。物価上昇は内閣支持率を低下させる。日銀が円安をとことん容認するのならば、各国から批判が出るとしても為替介入をするしかないと腹をくくった。9月22日、10月21、24日に円買い・ドル売りの為替介入を行った。深夜、早朝の取引が薄い時間帯を狙って、「夜討ち・朝駆け」の奇襲攻撃をした。
為替は動かせる
円相場は、米長期金利の上昇にほぼ連動する格好で円安に動いている。そこでの暗黙の前提は、日銀がずっとマイナス金利と、長期金利0%の基準を守り続けることである。ならば、いずれマイナス金利を修正し、長期金利の目標を上げ、変動幅の上限を0.5%くらいにすれば、円安の修正効果は大きいはずだ。
16年1月に導入されたマイナス金利は、銀行収益に打撃を与えるから、極めて複雑な仕組みをつくって、マイナス0.1%の金利適用の範囲を小さくしている。日銀がそれをやめて、短期金利を0.1%にすればよい。「金利を上げると景気が悪化する」と黒田総裁は語っていたが、短期金利をマイナス0.1%から0.1%にしただけでは悪化することはほとんどない。中立金利と呼ばれる適正水準よりも金利…
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週刊エコノミスト
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